20年以上、調剤薬局で管理薬剤師としてキャリアを築いてきたK.Yさん。安定した役職を手放し、あえて在宅未経験で「おとどけ薬局」へ。その背景には、「本当に患者さんのためになると自分が納得できる仕事をしたい」という想いと、新しい働き方を求める決断がありました。ここではK.Yさんの体験をもとに、40~50代からでも実現できるキャリアの変え方をご紹介します。管理薬剤師として20年働いたK.Yさんが立ち止まり、考えた理由長年の経験と安定した立場があっても、「このままでいいのか」と考える瞬間は訪れます。K.Yさんが新しい一歩を踏み出した背景には、管理薬剤師としての日々に抱いた迷いがありました。現場と管理のバランスに悩んだ個人経営の小さな薬局では、管理薬剤師といっても、日々の患者さん相手の仕事をしっかりとやってさえいればいい立場でした。けれど経営者が変わり、300店舗近くを抱えるグループの傘下に入った後は、管理者として数字を追い求めることを要求されるような立場に。薬剤師としての専門性より、管理業務を求められる日々に「自分が本当にやりたいことはこれだったか」と疑問を抱くようになりました。年齢とともに将来を見直したくなった40代後半を迎え、この先も同じ役割を続ける未来が見えた時、「もう一度別の経験がしたい」という思いが強くなりました。新しい挑戦は年齢を重ねるほど難しくなると感じたことが、「今動かなければずっと変わらないかもしれない」と決意を固めるきっかけになりました。新しい選択をしたい気持ちが残っていた在宅医療は未知の分野で不安もありましたが、「まだできることがある」と思い切って飛び込むことを決めました。最初は失業保険が切れる前に始めた短時間のパート勤務でしたが、働く人の姿勢や雰囲気の良さに触れ、「この薬局ならもっと続けたい」と自然に思えるようになりました。新しい現場で今、感じていること長年勤めた職場を辞して新たな薬局に飛び込んだことで、薬剤師としての原点を取り戻す日々が始まりました。そこで見えたのは、長年の繰り返しでルーティーンワークとなってしまった業務では得られなかったやりがいでした。自分の専門性を再確認できた訪問の現場では、長年の薬歴管理や処方提案の経験がすぐに役立ちました。医師や看護師との連携では判断力や調整力を頼られる場面が多く、「これまでの経験は無駄じゃなかった」と実感。加えて、在宅ならではの注射薬や麻薬など新しい分野にも携わり、週1回のスキルアップセミナーで知識を深められるのも大きな学びになっています。人と向き合う実務の面白さ外来では次々と患者さんが来るため、一人にじっくり向き合う時間は限られていました。在宅では落ち着いて話を聞き、生活背景を踏まえた提案ができます。患者さんやご家族から直接「ありがとう」と言われる時間が増え、薬剤師としてのやりがいを再び強く感じられるようになりました。上下関係に縛られないフラットな組織文化おとどけ薬局では年齢や役職に関係なく意見が通りやすく、改善提案も形にしやすい環境があります。若手とも対等な関係で働けるため、経験を押し付けず共有でき、新しい視点に刺激を受けることも多いです。信頼し合える雰囲気の中で働けることが、何よりも心地よいと感じています。ベテランの薬剤師だからこそできること・強み現場に戻って改めて感じたのは、これまでの管理薬剤師としての経験がチームにとって大きな力になるということです。管理薬剤師としての経験は縁の下でチームを支える力になる周囲の動きに目が行き届き、作業の偏りやミスを早めに察知できます。必要なサポートを自然に行い、業務改善の発想を出せるのは経験があるからこそ。前に出なくても現場を底上げできるのが、自分の強みだと実感しています。若手と対等に働ける環境がモチベーションになる役職を離れることで、若手とも同じ立場で話し合えるようになりました。経験を押し付けず共有し合い、お互いに学び合える環境は大きな刺激になります。年齢に関係なく挑戦を続けられる雰囲気が、自分の働くモチベーションになっています。仕事の幅を「広げる」のではなく「変える」という選択肢がある昇進や拡大だけがキャリアアップではありません。仕事の質を変えることで得られる充実感があります。患者さんと直接関わる日々は、これまでとは違う喜びをくれました。働き方を変えることで、キャリアにもう一度前向きになれます。体力・年齢が気になる方でも大丈夫!訪問薬局でベテランスキルを活かそう「在宅は体力的にきつい」「運転が必須かもしれない」と迷う方もいますが、現場には安心して働ける工夫が整っています。おとどけ薬局は負担の分散がしっかり行われている訪問ルートの効率化や電子薬歴の活用、チームでの分担体制があり、移動や記録作業の負担は大きくありません。運転は専任ドライバーがサポートし、荷物の運搬も協力して行うため体力面の不安を和らげられます。体力よりも「対応力」重視の仕事突発対応や臨機応変な判断力が求められる場面が多く、経験者が特に力を発揮できるフィールドです。長年の知識や対応力がそのまま強みになり、年齢に関係なく活躍できます。経験が対応できる力に変わり、日々の仕事を後押ししてくれるはずです。「まだ挑戦できる場所がある」と思えることが一番の支え年齢で線を引かず挑戦を歓迎する文化があるため、経験を活かしながら新しい知識も学べます。「自分の力を必要としてくれる現場がある」と思えることが、今後のキャリアを前向きに考える大きな支えになっています。